皆さんがご存知のとおり米中の貿易戦争が過熱化しております。アメリカが中国の輸入品について課税を高めると言えば、中国もそれに対抗してアメリカの輸入品の課税を高めると応えてきます。これにより世界の経済の見通しが不明になり、その影響で株式市場が大きく混乱していますよね。トランプ大統領になって株式市場はここ10ヶ月ほど大乱れです。
定年を迎えた方は投資信託や株式投資をしておられる方が多いいでしょうから、皆さん心配な日々をお過ごしでないかと思います。それは当然のことです。
では、「私は仕事を通じてこれをどう見ているか?」というと、世間で言われているようにトランプ大統領の主張である「アメリカ第一主義」への行動をもっと国民に印象づけ、11月の中間選挙をどうにか突破したい考えでこれを起こしたことは間違いないと思います。(実際、選挙で述べた公約がほとんど実現できていませんから、このままではトランプ大統領も不安なのでしょう。)
ですから、彼が「負けない戦い」と考えているこの貿易戦争では、どんどんと中国に攻め込む覚悟でしょうから、しばらくは手を緩める気はないでしょう。
しかしながら、今までのように相手国がやれば、またやり返すといった事を両国が行っていれば、苦しぬは互いの国民です。このぐらいのことは両国とも充分にわかっているでしょうから、ある条件で止めねばなりません。
しかし、どういった条件で止めるかは、現時点、私にも不明であるものの、この両国のいざこざは「中間選挙までは続きそうだ」といった、ある程度の終了時期については想像できますよね。ただし、「その時期になったらすぐに解決するのか?」と問われればそうではなく、今年中はこの混乱は続くのでないでしょうか。(もちろん、中間選挙まで両国がにらみ合ったままでいるといった事はなく、事務レベルでの話し合いは何度か持たれると思いますがね。)
その理由として、前述のようにトランプ大統領はこの戦いを行うに当たり勝負の結果を予想していたことは間違いありません。「つまり、負ける戦争ではない」と確信したので、これを仕掛けたのでしょう。
実際、アメリカの中国からの輸入額は46兆円、それに対し中国のアメリカからの輸入額は11兆円ほどですから、アメリカは中国から4倍以上、物を買ってあげていることになります。
トランプ大統領にすれば「ここまで、中国の製品を買ってあげているのに、お前ら中国はアメリカの製品をほとんど買っていないじゃないか!お前らはアメリカより金をむしりとっているだけではないか!お前らがどんどん物をアメリカに押し込んできているため我国の工場の経営がいきづまり、その結果、労働者が解雇されて失業率も上がっているのだぞ!どうしてくれるのだ!だから、俺はお前らの輸出する品物には税金を高くして輸入を抑えることにしたのだ。これは、大統領として国民の生活を守る当然の行為だ!何が悪い。悪いのはそちらだろ!」といった感じでしょうか。
そして、アメリカ国民に対して「俺はわが国に不利益をもたらしている中国をやっつけているのだぞ!今、経済を苦しくしているのは中国だ!悪いのは中国だ。」と強くアピールしていきたいのでしょうね。
こうやって見ると昔のアメリカは日本からの輸出に悩み(貿易赤字に悩み)、特に車の輸出量に関しては数量規制やアメリカ部品の使用%を要求してきました。そして、その要求を日本はのんできました。その理由は日本が外交・防衛面などアメリカの傘の下に支えられていましたので、アメリカも「日本は自分らの意志でどうにでもなる国」と考えていたからのでしょう。
しかし、時代は変わり中国がアメリカにとって輸入取引額で1番となり、GNPが日本をぬいて第2位となった今、今まで日本に行っていたような要求が中国にはそのまま通用しません。
一方、中国もアメリカとの国交について仲が良いというわけではありませんし、国内では経済成長率の鈍化、社会の2極化、外交トラブルなど多くの問題を抱えている事もあり、習主席も簡単にアメリカの要求を受け入れ、自分の弱さを国民や共産党内にも見せたくない事が裏にはあるのでしょう。
そういった意味で、この貿易紛争(互いに対抗し合う姿)は一つのショーなのかもしれませんね。そんなショーに何ヶ月も世界経済は振り回されているかと思うと、うんざりですね。
(追記)中国も外貨はたくさんあるのですから、アメリカよりもっと多くのものを買ってあげればいいと思いますし(飛行機や飛行場建設)、アメリカも中国が欲しがるような物をもっと作り出せばいいと思うのですがね(環境汚処理施設、医療機器)。