「最近、小さい字がぼやけるようになったので、そろそろメガネを買わなくてはいけないな」と思っていたところ、池袋を歩いていたら「どこよりも安いメガネ屋さん」と書かれた看板が出ていたのでその店に入ってみました。
全て既成の品ばかりですが確かに実に安いです。
品物によっては8割引きなどといったものもありました。
「どうしてこんない安いのかな?まぁ、いつもかけているわけでもないし、仕事をする時にかけるぐらいのことだから、高級なものは必要ないな。まして、すぐになくしてしまう恐れもあるし。それよりも、かけてて軽いものがいいな」と思いながら店内を見回しましたが、残念なことに色やデザインで気にいったものがありませんでした。
「でも、せっかくだからこれも何かの縁、何か買っていこう」と思い、サングラスを首から掛ける紐を買って帰る事にしました。
支払いをしていたらレジの横に「度数が合うようでしたらお一人様一つだけですが、ご自由にお持ち下さい」とプラスチック製のメガネのレンズが片眼だけですが、ビニールの小袋に入って置かれていました。
早速、手にとって目に近づけてみると、文字がよ見えるではありませんか。
プラスチックですから軽いですし、割れにくいですし、レンズだけですから小さいのでポケットに入れていても邪魔にもなりません。
「これは便利だわ」と思い、一つもらって行くことにしました。
そこで、「待てよ。これなら誰がもらっても喜ぶかもしれないから、一人一つとなっているけど2個もらって行こう」と思い店主に「おじさん、すいませんがこれ二つもらってもいいですか?」とたずねましたら、おじさんは笑いながら指を顔の前で左右に横に振りながら答えました。
「お客さん、それはダメだよ。もし、二つ欲しいならメガネを買って行ってよ。」と。
私も笑いながら、「そうだよね。そんなことしたら店が潰れちゃうよね。」と言って、一つだけをポケットに入れて帰ってきました。
今考えれば、「実におじさん、説得力のある返答だったな」と思いだして笑えてしまいます。