先日、そろそろ紅葉しているかどうか確認しに山に登ってきました。
山と言って標高500mほどの山ですから、登山というよりもハイキングといった感じです。
登山2日前に雨が降ったため道の脇に積もった落ち葉はまだ水滴が残っていましたが、山道は水溜やぬかるみもなく歩きやすかったです。
のんびりとした足取りで2時間ほどして頂上に到着です。
朝早く登り始めこともあり山道で出会った人もたったの二人だけでした。
頂きの展望台にはプラスチック製のベンチが三つだけといった殺風景なところでした。
でも、このベンチは利便性があり、こんな所でこんなものを見つけるとは思ってもいませんでした。
その特徴とは見た目は普通のベンチなのですが、背中の面を押し上げ平らにすることによって地面と水平になり、テーブルに早代わりするのです。
座イスの部分は動かさずそのままですから、座る向きを反対にしてテーブルを振り向けば、弁当でも置いて食事をすることが出来るというわけです。
ちょっとしたアイデアですが、私はかなり気に入りましたね。
家のベランダにも一つ置きたいものです。
一方、頂上はまだ朝方のひんやりとした寒さと顔をなでる秋風、それに揺られて木の葉がサラサラとすれ合う音のみで、これから静かな山に静かな目覚めが訪れるといったような感じで実に心地の良いものでした。
そのさわやかな風を受けながら私は思わず地面に仰向けに横たわり、頭上の空を眺めました。
すると、高く育った木の葉の向こうにはきれいな青い空。
そして秋雲を象徴する荒目の刷毛で白い絵の具を青空にサッと塗ったような筋雲がかかり流れていました。
「ああ、上空には強い風が吹いているのだな。」と思いながら、しばらくじっと雲の流れを見つめていました。
他の雲にぶつかっては形を変え、何もなかったかのようにまた同じように流れていきます。
まるで人生のようです。
でも、こうして寝そべって雲の流れを眺めるといったことは、私にとっては小学生時代の夏の海辺で寝そべって見た時ぐらいの昔の記憶しかありません。
成人してからは意外に真上の雲を眺めるなどといったことがなくなるものですね。(夜の星座であれば眺めたものですが)
しばらくして起き上がり、今度は山のふもとの景色を見てみると、川が流れ楽しそうに水上スキーをやっていました。
きれいな秋空、澄み切った空気、草木の香り、そして川では水しぶきを上げてスポーツを楽しむ人たち、こういった環境を目の前にすると、世界のあちこちで争いが起きている中、何も心配事なくこうして生きている自分はなんと幸せなのだろうとつくづく思いましたね。