新聞に、毎日といっていいほど子供たちの進学塾のチラシが入ってくる。
21時以降の電車でも塾帰りの小学生をしばしば見かける。まさに日本は小さい頃からの受験戦争国だ。
こういう子供たちを見ているとかわいそうになるのは私だけなのだろうか?
ところで先日、世界57カ国・地域で約40万人の15歳男女(日本では高校1年生)を対象に実施した「学習到達度調査」の結果を発表された。日本からは約6000人の高校1年生が参加したという。学力テストの内容は「読解力」「数学的活用力」「科学的活用力」の3分野。
日本の順位は、いずれの分野でも前回(03年)より後退と情けない状態。
特に成績の悪かったのが、「読解力」では15位、数学的活用力10位。
一方、学力が伸びてきた国は、フィンランド・韓国・カナダ。
以前は福祉国家、何もない国と言われてスカンジナビアの国がいつの間にか人材を作り上げてきた。確かに、携帯で一躍世界におどり出た「ノキア」の力を見てもフィンランドの変身を知るとができる。そして、教育においても日本のように1つの答えを出すのではなく、たとえ答えが違ってもその答えを導き出す思考過程を重要視している。この教育があったからこそ、今回のような結果を出したのであろう。
一方、韓国・中国は昔より受験国といわれていた。また近年、大学では世界の有名教授を呼び込んで大学レベルの向上を図っている。世界に勝つ為の人材づくりに力を入れるという流れが、ここにも確実に起きている。
そして、カナダ。この伸びはおそらくカナダ人の伸びというよりも、韓国・中国・台湾からの移民の師弟が増えたからであろう。彼らは子供の教育に家系が総力を上げて力を注ぐ。
自国では母国語だけしか覚えられない。それは駄目だ。英語が話せなくては今後やっていけない。それであればカナダに子供を送り、名門校や全寮制の学校に入れ言語とともにその他の教育をしっかり勉強させる。そして大学を卒業させた後はその能力でもって世界的なビジネスをできるようにさせてあげたいと願っているわけだ。
これは、「親のお金はいつかなくなるが、親が与えた能力はなくならない。」との考え方から来ているのだ。
こうしてみると日本の子供たちの読解力と理科系の学力の低下には非常に心配させられる。
「読み・書き・そろばん」は勉強の基本。ゆとり授業も良いが、ここまで成績が悪くなると今後の日本を心配してしまう。
夜遅くまで塾で勉強している子供たちの学習は本当に世界に勝てるのあろうか?
自分ひとりでも生きていけるような力をつける学習なのだろうか?
たったひと時の受検のための勉強が何になるのであろうか?
本当にこの子供たちは進学校にいきたいのだろうか?
親にいわれたことに何の疑いも持たず行かされているのではなかろうか?
親の見栄のための受検ではなかろうか?
機械となっているかわいそうな子供たち。
子供たちはもう寝るべき時間というのに、少年の目は、ただただ電車より外にきらめくライトを追っていた。