天気の良い時に横浜の山下公園に行ってみますと、しばしば、多くの人だかりに出会います。
「何で集まっているのかな?」と近づいてみますと、大道芸人がパフォーマンスを披露しています。
どんなパフォーマンスであろうと見ていて楽しくなりますし、「すごいな~」と彼らの技に感心してしまいます。
そして、その演技が終わると観客の前に「お気持ちをひとつ宜しくお願いします。」ということで、帽子や小箱が置かれたりします。
ご存知のとおりこの寄付が彼の収入です。
これを基に生活をしているわけです。
今回出会った大道芸人の方は、この演技が終わった後になぜ自分がこういった芸の道に進むことになったのか、そして自分はこの芸を通じて社会に何を貢献したいのかといったことを話され、自分の芸を録画したCDを無料提供して、これを今回見られなかった方に是非見せていただきたいとのべていました。
彼の年齢は35歳ぐらいだったでしょうか。
そして、いつものようにお金を入れていただける帽子を地面において、その横に無料CDを山積みにして置きました。
天気が悪かったり、あるいは炎天下だったり、すごく寒かったりすれば観客は集まって来ません。
技術の問題でなく、天候によって収入が大きく変化してしまうのです。
それほど収入の安定しない職業ですが、天職としてがんばっている姿に心が打たれます。
私たちが見るそのパフォーマンスは30分前後かもしれませんが、彼らはその30分を見てもらうために何年何年も練習をしてきているのです。
どこかの室内場を借りればお金がかかります。
どのくらい人が来てくれるかもわかりません。
宣伝もしなければいけません。
ですからある程度の料金も取らねば生活ができません。
こういったことを色々と考えたうえで、大道芸人を行っているのでしょう。
パフォーマンスが終わり私は観客の人たちがその帽子にお金を入れるかを眺めていました。
ご家族単位でみると約30%の人は何もせずにその場を立ち去りました。
そして、40%ほどの方は1000円を入れていました。
一人であれば1000円は高いように感じますが、でもCDがただでもらえればうれしいですよね。
無論、CDは無料ですからまったくお金を払わなくてももらえるのですが。
一方、もし家族四人で見ているとすれば一人250円。
とても安いですよね。
この値段であれだけ楽しませてもらえれば「いい一日だった」と言えるのではないでしょうか。
そこで私が言いたいのは、その場でお金を払わずに立ち去った人たちのことです。
この方々は、もしかしたら短い時間しかその場で見なかったのでお金を払う必要はないと感じたためなのか、あるいはこの程度のパフォーマンス内容であれば、お金を払う必要がないと思ったからなのでしょう・・・。
何らかの理由があるのでしょう。
でも、お金をコイン程度でしか払わず、さらに無料だからCDを持っていくといった方々はやはり彼の立場や気持ちを考えてあげる必要があるのではないでしょうか?
私はそう思います。
きっとCD製作においても彼らはお金を多くかけられないでしょうから、業者にお願いすることもなく自作で作っていることと思います。
でも、CDを買ったり袋やシールを買ったりお金はかかります。
自分の貴重な時間もかけています。
ですから、やはりその行為や努力に対して考えてあげるべきだと思います。
一生懸命やっている姿はどの国でも、何歳でも、いつの時代でもすばらしいものと私は心の底から思っています。
自分の立場が変わり大道芸人であったならば、そういったお客さんの行為を受けた時、どういった気持ちになるかを考えてみていただきたいと思います。