私の趣味のひとつはアクアリウムを楽しむこと。
それも海水の。
きれいなサンゴや魚たち。
そして揺らめくソフトコーラル。
部屋の電気を消し水槽の中を照らすライトだけにして、ボサノバの音楽が流れるなか、いすにゆったりと腰掛けハイボールなどを飲みながら眺めていると、日々の疲れなど忘れてしまいます。
まさにそこは水族館です。
そういったマリンアクアリアムが大好きな私に、大事件が起きたのは今年7月のこと。
水槽のメンテナンスをした際に、私のミスで水槽内の水温を感知するセンサーを取り付けるのを忘れたために、水槽の温度がクーラーによってどんどん冷やされ、サンゴも熱帯魚も全滅してしまいました。
すごくショックでした。
あれほど注意して育ててきたサンゴや魚たちが、わずか4時間の間にすべてダメになったのですから当然ですよね。
その後は、水槽内は温度に弱いソフトコーラルは飼わずに、色のきれいなハードコーラルと熱帯魚だけにしておきました。
そしてそれを毎日眺めていました。
しかし先日熱帯魚店に行きますと、きれいなソフトコーラルが売られていましたので
思わずそれをいくつか買って水槽に入れました。
その夜はずっと水槽の中を見ていたわけですが、その美しさに以前とはちがった心の安らぎを覚える自分を感じました。
では、なぜそんなに安らぎを感じたのでしょうか?
今までだってあんなにきれいな水槽内であったのに・・・?
その理由がわかりました。
理由はコーラルにあります。
ここ5ヶ月ほど見ていたコーラルの種類は「ハードコーラル」といって、石のように動くことはなく、きれいな色をしたコーラルでした。
しかし、今回のコーラルはソフトコーラル、つまりイソギンチャクのようにゆらゆらとした触手を伸ばし右に左になびきます。
つまり今回の水槽の中には「揺らぎ」という世界が生まれたのです。
言葉を変えれば「時間の流れ」が作り出されたといえるでしょう。
これが私に目から入る美しさとともに、心に何かをあたえる要因となったことは間違いないと思います。
つまり、こういった現象からも人の感動というものは、私たちが普段あまり意識しない「時間」というエネルギーを作り出していると私は思っています。