「スポーツの基本精神はフェアに行うこと」と教えられてきた私にとって、監督が日本柔道女子選手へ暴力行為を行っていたという事件は、非常にがっかりさせられたニュースでした。
ついこの前、相撲界で起きた暴力行為をどうなくすかについて弁護士を加え協議されてきた内容がまとまり発表されたばかりなのに、今度は我が国の誇りとする柔道で起きた暴力行為、それも女子柔道界です。
本当にがっかりです。
日本オリンピック委員会は、園田監督だけの暴力行為ではなく、強化委員長までも選手へ嫌がらせを行っていたなど、組織として不当な行為が行われていたことを明らかにしています。
確かに日本のお家芸である柔道が、近年世界に追い越されることも多くなってきた中、監督やコーチたちにとり選手を鍛えることは、かなりのプレッシャーを感じていたでしょうし、また選手も同様です。
このことは実によく理解できます。
しかし暴力行為があってはなりません。
どうして、ここまでにいたったのでしょうか?
それは監督やコーチが描いているような行動を選手がとれないからであり、そのイライラ感から来るのでしょうが、そこはたとえ強い選手といえども女性です。
女性でなければわからない感覚というものもあるでしょうから、すべてが自分の思うようにいくというのは間違った考えであることは、いとも簡単にわかると思うのですが・・・。
実際、今回選手に暴力や不適切な態度をとっていた者たちはすべて男性。
私は思うのですが、女性のコーチや監督がいたらどうだったのでしょうか?
こういったことが起きたでしょうか?
私は起こることはなかったと思います。
やはり女性のコーチや監督がいれば、「なぜ自分の言うことを彼女らが出来ないのか・・・」と、女性としてわかる部分があったのでないかと思うのです。
そして、多分そういったコーチや監督は頂点に達した選手生活を送った方でしょうから、きっと自分らの選手時代の経験を通じてわかったのではないかと思います。
女性選手を鍛えるために男性選手を相手に練習させ、男性にも負けないほど強くさせようという気持ちまではわかりますが、男性と同じようにさせようとしても出来ない一線がやはりあることを知る必要があるでしょう。
そしてその前に知っておくべきことは、厳しさの中にも愛がなくては駄目だということです。
今回こういった暴力行為が明るみに出たのは紛れもなく、「誰よりも強くなりたい!」という気持ちを強くもち、厳しい練習に耐える精神力を持っている日本柔道界をリードする選手からの声から出てきました。
このことは深く考える必要があります。
そこにはコーチ、監督から受ける指導が自分たちを強くしようと一生懸命育なことをよくわかりながらも、ついにはそれをハイハイと受けとれることができなくなったからです。
その原因はずばり、「自分を物のように扱かった」と感じたからでしょう。
やはり人は自分の人間性をけなされることに耐えられなかったのだと思います。
これは自分が生きている意味まで考えさせられてしまいますからね。
そういえば、小学生の時に親から言われたことがあります。
「どんなに人を責めてもその人がどうしてもできない事は言ってはいけないよ!」と。
責めるなら、相手が出来ることなのにサボった時や、間違いなく卑怯なことをした時、悪いことをした時にしろといわれた事を思い出します。