今回はやや硬い情報となってしまいますが、タイが好きな方には重要な事ですのでお伝えしておきます。
先週はタイにいましたが、タイで今話題となっているニュースは昨年首相を失脚したインラック前首相が、首相であった時期に行った政策についての事件です。
インラック前首相は、ご存知のように2006年に失脚したタクシン元首相の妹で、タクシン元首相の持っていた携帯電話会社の役員をしていた女性で、首相になるまで政治の経験をしたり勉強した人ではありませんでした。
タクシン元首相が失脚したことに伴い、タクシン派が首相候補として掲げたお題目的な人であり選挙の結果、首相となりました。
しかし、この選挙においても裏で兄のタクシン元首相が金をばら撒いたといわれ、その結果当選出来た人、つまり「タクシン元首相の操り人形」といった存在であると、タイ国民は認識している人です。
ですから、国外追放された兄を何とか国に戻すことに専念するのが彼女の主なる目的であったといえるでしょう。
そして、タクシン派の支持基盤は農民、いわば低所得者層であるので、最低賃金のUPや保険の提供などを行ってきました。
しかし今回、彼女に対し弾劾されたことは「政治活動の5年間禁止」」というものです。
その理由は彼女が首相であった2011年に米の担保融資制度を導入し事実上、米の市場価格を農家より国が高く購入したことにより、国は1兆9千億円ほどの損失が生じたと言うものです。
まさに支持基盤の低所得者である農民へのお金のバラまき方を、米の購入を高くする方法で行ったと言うことです。
そして現在国会では、反タクシン派が議会の50%以上を占める、軍の影響力の強い中で彼女の弾劾が決められました。
これに対して無論、タクシン派は反発しています。
私はこれを見て、「またお兄さんと同じことをやっている」と思いましたね。
彼女は「貧しい農民への生活活動の向上」への目的といっていますが、「お金を配るための口実に過ぎない政策にすぎない。」と思っています。
こういった福祉的な政策はなかなか非難されにくい政策ですが、彼女も兄であるタクシン元首相が行った保険制度も、まさに小額のお金を非常に多くに渡すことにより政治基盤をしっかりと固める目的にほかならないものと思っています。
もし地盤を固めるのであれば自分の資産でやればよかったのです。
国家政策であれば「米の買取り」といった方法ではなく、技術指導とか新種改良などといった、もっと将来を見た政策を行うのが首相の役目と思っています。
ですから、彼女の5年間の政治活動の中止は当然のことと考えています。
タクシン派は当然不満を述べるでしょうが、何せ強い軍事政権が今は収めていますから、今までのような過激な行動には出られないことでしょう。